2005-02-27 18:46:42
十二国記 第四十四話 「東の海神 西の滄海」終章 [ 十二国記 ]
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元州の兵士に化けて、元州城に潜入した尚隆。地下の坑道で六太を捜す兵士達に混じって、六太と再会します。尚隆と再会してホッとしたのか、六太は「足が痛くて歩けな〜い。ねえ、おんぶして〜」と尚隆に甘えます。こいつ〜、かわいいやつめ。
六太は、臣下を集めた斡由の前に進み出、 州候・元魁を幽閉していること、六太を誘拐してきたことを問いただします。このあたり、最初は「民のために王を討つ」と言ってきた斡由の化けの皮がだんだんと剥がれていくようです。
そして、水攻めを恐れて、堤を切るように命令したことをとがめる家臣に罪をなすりつけ、「お前の箴言に惑わされたと」と言うに至っては、もう末期的ですね。そこまで苦しい芝居をしても、何とかこの場を逃れようとするのは、とても見苦しいです。「もういいよ、斡由君。分かったから。そんな芝居をしたって、君の罪は逃れようがないんだからさ。素直に、ごめんなさいって謝ってしまおうよ」と言いたくなってきました。
頑朴に堤を造れと命じた尚隆は、部下に「堤を造って、斡由を試せ」と言いました。堤を造られて水攻めで来られる危険があっても、本当に民のことを思っているなら、堤を切るようなことはしないはず。もし堤を切れば、民の信頼を失ってしまうだろうから、その時は反乱を起こした民に味方して、斡由の兵士を討てばいい。尚隆の計略にまんまと乗って、ボロを出してしまいましたね。
斡由は、尚隆が「温情の大盤振る舞い」をしてやるって言っているのに、「こんの野郎おぉぉぉぉぉ、」とぶち切れちゃって、尚隆に飛びかかり、返り討ちにあってしまいました。どこまでも往生際の悪い奴でした。最初は、民のことを第一に考える、いい人なのかと思っていましたが、化けの皮剥がれまくりです。
散々人を殺して、妖魔のエサにしてきた更夜は、なぜか許してもらって、「妖魔が人を襲わない国を作る」と言う尚隆の言葉を信じて、どこかへ飛んで行ってしまいました。それでいいの?。
六太の望は、「国が緑で覆われ、誰も飢えず、豊かに暮らせる国が欲しい」と言います。それを作るのがオレの役目という尚隆。振り返って、今の私達が生きている社会は、飢える人など誰もおらず、豊かに暮らせる国に住んでいるのですが、あまり幸せを感じないのは、なぜなんでしょうね。
あればあるだけ、ないものが欲しくなってくるもので、人間の欲望には限りがないのです。六太の言葉に、ついそんなことを考えてしまいました。
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2005-02-18 21:23:45
十二国記 第四十三話 「東の海神 西の滄海」三章 [ 十二国記 ]
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驪媚が自らの命を絶って、逃がそうとした六太でしたが、麒麟は血に弱く、驪媚の血を見て気絶してしまったようです。なんだか驪媚の死が無駄になってしまったようで、ちょっと残念です。でも、そのおかげで女官・銘心に看病を受け、角を封印する玉も、角の位置をはずれていました。
女官の手引きで、六太は城の地下から、城下へ逃れようとします。そこで見たものは、牢に入れられた斡由の父、州候・元魁でした。
そこで語られるのは、斡由の暗黒面。人望篤く、知略にたけ、民のことを第一に考えているように見える斡由ですが、父から言わせると、自分の失敗を認めることができない、偏狭な人物です。弓の名人であった斡由は、家来達の前で1回だけ射損ねた時、的を用意した部下を処罰したことがあったそうです。
漉水をはさみ、頑朴対岸に土嚢を積みあげ堤を築く尚隆に対して、斡由は、いまさらご機嫌取りに堤を築くはずもなく、堤の目的は水攻めにあると気付きます。持久戦に持ち込まれれば、斡由には兵糧が足りません。民がこの冬を乗り切るために蓄えてある農作物を取り上げざるを得なくなっています。
また、水攻めに対抗するためには、漉水上流・新易の堤を切って、新易を水没させる必要があります。新易を沈めれば、そこに住む民は行き場を失ってしまいます。斡由は尚隆との戦いに勝ち抜くために、民を犠牲にしなくてはならない状況に追い込まれます。民のために王を撃つ決意をしたのに、勝利のために民に犠牲を強いる結果になり、だんだんとほころびが出てきています。
「では、どうしろというのだ?」と言った斡由に、女官からは、「降伏なさいませ。王を軽んじすぎていたのです」と言われる始末。
放逐するよう言われた女官を、更夜は妖魔のエサにしています。斡由はそれを知っている訳ではありませんが、斡由にしても、更夜にしても、「民のため」「斡由のため」と口から出てくる建前の裏で、暗い執念によって突き動かされているものが次第に明らかになり、彼らの計画は破綻に向かってまっしぐらに進んでいるようです。
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2005-02-13 17:49:15
第四十二話 「東の海神 西の滄海」二章 [ 十二国記 ]
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避けられない戦い。尚隆が斡由を「もう一人の自分」を呼ぶように、斡由は尚隆と同じ事を六太に言います。「もし明日、万の民の死が、今日、千の民を殺すことによって避けられるなら、そっちを選ぶ」。理屈ではそれも納得できますが、殺される千の民はたまったモンじゃありませんね。
六太を押さえられた尚隆は、元州に七万五千の兵を差し向け、元州城を包囲させます。兵の数は同数。この兵力では元州城を落とすことはできませんが、首都の関弓をからにするわけにはいきません。
元州に差し向けた兵は、途中で農民達から兵を募りながら、元州に向かいます。やっと荒廃から立ち直ったばかりなのに、兵に応募してくる農民達。王がいなくなれば、また国が荒れて、結局苦しむのは農民だと知っているからです。それはとりもなおさず、民が斡由を逆賊だと認めていることの表れにもなります。尚隆の上手い作戦か。
そして尚隆は、敵の兵に紛れ込んで、元州城に潜入します。
このあたりは、尚隆と斡由の腹のさぐり合い、戦術合戦のさや当てです。尚隆はこの戦いに命運をかけている、つまり負ければ王としての地位も危うく、命さえ落としかねないと覚悟しているようです。
「どんな王も、いつも民を苦しめる」と尚隆を軽んじる六太に、一緒に捕らえられている元州牧伯驪媚は、「王は私に牧伯を賜るとき、すまんと謝ってくれました。考えるところは考え、決断すべき所は決断するお方です」と、尚隆を信頼するよう説きます。
そして「関弓にお帰りください」と言って、六太の戒めを解き、自らは戒めの力で命を落とします。「驪媚ー!」と言う六太の叫びが痛切です。
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2005-02-05 16:59:21
十二国記 第四十一話 「東の海神 西の滄海」一章 [ 十二国記 ]
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新しい章「東の海神 西の滄海」が始まりました。雁国の延王、尚隆の話です。
当時、雁国には謀反の噂が立っており、蓬莱を彷徨っていたとき、戦でつらい目に遭ってきた六太には、気の重いことでした。
そんな折り、六太は妖魔に乗って空を飛ぶ少年と出会います。少年は妖魔のことを「大きいの」と呼び、「蓬莱では妖魔と人が一緒に暮らせると聞いて、探しているけど見つからない」と言います。
六太は、「蓬莱でも、人と妖魔は一緒に暮らせない」と教え、少年に名前を付けてやります。「更夜」と。
そして時が流れたある日、更夜が六太を訪ねてきます。更夜は、元州夏官の射士となっており、斡由に使えていると言います。大きいのは外に待たせてあるという言葉のとおり、妖魔が控えていますが、その口の中に赤ん坊を乗せます。この赤ん坊を、人を食らう妖魔の餌にして欲しくなければ、一緒に来て欲しいと脅迫されて、六太は更夜に捕らわれてしまいました。
連れて行かれたのは元州の斡由の元。今回、謀反の噂が流れている張本人です。斡由は「大河のほとりにある元州では、川の氾濫によって民が苦しんでいる。延王・尚隆に何度も願い出ているが聞き届けられない。そのため思いあまって六太を誘拐するようなことをしてしまった」と説明します。
仕方なく元州にとどまることを承知する六太ですが、元州牧伯・驪媚共々牢に入れられ、逃げ出さないように麒麟の角を封じられてしまいました。
民のことを考えて、思いあまってやったことにしては、六太を誘拐する方法が残酷ですね。赤ん坊を妖魔の口に入れるなんて。六太の昔なじみの更夜も、優しい言葉遣いと裏腹に、心底冷たい冷酷さを感じます。
元州牧伯・驪媚と六太の額に輪をつけて、「どちらかが輪を切ったら相手の輪が閉まるようになっている」と優しい顔で説明する所なんて、サディスティックな感じがします。
六太は「尚隆はバカだから」と口にしますが、本気で言っているのでしょうか。自分が選んだ王なのだから、王たるにふさわしい人物だと感じているのは当たり前でしょうけど、尚隆の皮肉たっぷりな言葉や、型破りな行動には、いささか本心をつかみかねているのかも知れません。
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2005-02-01 21:06:03
十二国記 第四十話 「乗月」 [ 十二国記 ]
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呀峰と昇紘を捕らえ、彼らの後ろで糸を引いていた靖共を追放して、金波宮は人心一新されました。
陽子は、明郭での反乱のとき働きのあった祥瓊を、慶国の宮中に取り上げるため、芳国の仮王・月渓に、新しい禁軍将軍・桓魋に親書を託します。
恵州候・月渓は、祥瓊の父である冽王を討った人物です。冽王はとても規則に厳しい王で、些細な罪でも死罪に処していました。そのため殺された民の数は60万人。あまりの厳しいやり方に、冽王を慕っていた月渓が諸侯に呼びかけ反乱を起こし、冽王を討ったのでした。
王が不在となった後、月渓は仮の王として芳国を治めていましたが、朝廷が多少なりとも鎮まった今、恵州に戻る決意をしていました。冽王を討つという大罪を犯した自分が、王宮に留まることは、許されることではないと考えてのことです。
陽子の親書を持って月渓を訪ねた桓魋は、月渓の話を聞き、月渓が慕っていた冽王を討ってしまったことを、いまだに罪だと考えていて、王にならないことで、王を討った事への言い訳を持ちたがっているのではないかと諭します。
そして、陽子からの親書を渡し、冽王の娘、祥瓊がいろんな苦労を重ね、自分の非を認めて許しを請う心になっていることを伝え、「人は変わることができるのです」と言います。
人は変わることができる。変わろうとする意識がなくては、変わることはできません。なりたい自分がどんな人なのか、イメージできなければ、どう変わっていいのか分からないでしょう。いろんな人の中で、いろんな経験をするということは、とりもなおさず、なりたい自分のイメージを確かなものにするということです。なりたい自分のモデルがなくては、イメージすることは困難です。祥瓊は陽子や鈴と出会って反乱に参加することで、人間が作る世の中の仕組みや関係を知ったのだと思います。
祥瓊が変わったことを知った月渓は、「私は祥瓊の歌が好きだった」と伝えます。それは祥瓊が王宮で何も考えずに歌っていた歌ですが、美しい歌はそれだけで人の心をとらえるものなのでしょう。この話は、私、とっても好きな話です。
祥瓊にいろんな物を盗まれた供王は、祥瓊の罪を減刑して欲しいという親書に腹を立てます。「なにゆえ他国の王から、自国の罪人の罪を許すよう請われる道理はない!。祥瓊の罰は国外追放。恭国で見つけたら叩き出す!」。
供王は、美人でおきゃんな、あどけなさの残るかわいいお姉ちゃんですが、けっこう人間ができているのです。祥瓊に対しても、ひたすらきつくあたっているようですが、恭国に戻ってくる必要はないと罪を許してくれたのでした。
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2005-01-27 18:54:17
十二国記 第三十九話 「風の万里 黎明の空」終章 [ 十二国記 ]
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昇紘の城を占拠した陽子達に、追う直属の軍、禁軍が迫ります。王である陽子の許可を得ずに禁軍を動かした人物がいる。それはつまり昇紘、呀峰を裏で操っている人物がいるということです。
普通、乱を起こした者達の中に王などいるはずがないので、いま陽子が「私が王だ。禁軍は私に従え」と言っても誰も信じないでしょう。王である絶対的な証拠を見せて、禁軍を承伏させなくてはなりません。
そこで陽子が呼び寄せたのは、景麒でした。悠然とした音楽をバックに、空を賭ける麒麟のなんとも優雅なこと。「すまん」と言って、陽子は自分をを背中に乗せて空を飛んで欲しいと頼みます。麒麟は馬ではないので、普通背中に人など乗せないのでしょう。
今まさに昇紘の城に攻め込もうとする禁軍の上空を、麒麟に乗った陽子が舞い降ります。我が目を疑う軍勢達。上官の命令で討とうとしていた相手が、麒麟に乗って目の前にいる。偽物?。「麒麟にまたがることができる人物が、この世の二人といるか!」。
敵の陣地から我が王が出てきたのですから、禁軍の狼狽えようは相当なものでした。景麒の「王の御前であるぞ。誰の許しを得てこうべを上げるのか」という言葉に、驚いてひれ伏す兵達。
うろたえる将軍に、いますぐ明郭に行き呀峰を捕らえるよう指示します。麒麟に乗り、決然と命令する陽子のかっこいいこと。水戸黄門が印籠を出す時のような、スカーッ!とするシーンでした。こういう話は、だいたいあらすじが分かっていても、引き込まれてしまいます。なんかこう、溜飲が下がるというか、ヤッターッて気になります。
その後のお話は、内乱の後始末と、官吏の人事異動。禁軍将軍に桓魋を据えたり、遠甫を金波宮に迎え入れたり。そして最後は、王の前でひれ伏すことも廃止してしまいました。
「無理矢理押さえつけられれば、威張る方も、我慢する方も壊れていく。相手を敬う気持ちがあれば、自然と頭が下がるものだ」と話す陽子は、堂々としてまさに王にふさわしい風格を備えていました。
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十二国記 第三十九話 「風の万里 黎明の空」終章 | Permalink | コメント(33) | Trackback(0)
2005-01-15 11:19:56
十二国記 第三十八話 「風の万里 黎明の空」十五章 [ 十二国記 ]
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昇紘の城を占拠し、桓魋の部隊を加えて、州師に対抗できる軍勢を確保しましたが、拓峰の住民は陽子達の反乱に参加しようとはしません。みんな昇紘に反感を持っているにもかかわらず、長いものには巻かれて生きる習性が染みついていて、昇紘を倒したところで、また別の悪人がのさばるだけだとしか考えられなくなっています。
鈴は、どんなに虐げられても、ひたすら我慢している人達の心情を、梨耀に仕えていた時の自分の気持ちになぞらえます。何も言わずに我慢していると、自分が一番不幸な気になってきて、「なんて可哀想な私」に酔ってしまいます。「こんなに可哀想な私に、どうしてみんな優しくしてくれないんだろう」と不満をためこんでしまいます。
鈴も、梨耀様にもっと文句を言えば良かった。黙って耐えてばかりいて、自分が一番不幸だと思いこんでばかりいた。不幸になれてしまうと、人は不幸自慢を始めてしまうといいますが、「不幸自慢」とは言い得て妙ですね。
人間は逃れがたい、困難な状況に置かれると、「状況を変えよう。困難を減らそう」とするより、「オレはこんなに大変なんだ」「私ってなんて不幸なの」と困難な状況を自慢するようになってしまいます。
そして「あなたはいいね」と他人をねたんだり、「こんなに大変な自分に、もっとよくしてくれて当然だ」と思うようになるのです。
祥瓊に、「この乱によって、呀峰や昇紘のような悪人がのさばっていることを景王に知ってもらいたかった」と言われ、陽子はとうとう「自分がその景王だ」と素性を明かします。
驚く二人に、「宮廷は官吏に支配されている。呀峰を罷免しようにも、確固とした証拠がなければ、官吏は動かない。自分はこの国のことを遠甫に教わっていたところ、遠甫は捕らえられ、李家の娘は殺された。遠甫を捜していたら、こういうことになってしまった。この国を良くしたい、不幸な人を出したくないと思っているが、至らない王ですまない」と胸の内を明かします。
同じ年頃の娘だからという理由で、はるばる会いに来た景王が目の前にいることを知って、鈴は「勝手に王に期待して、勝手に失望して。誰も景王がどんな思いでいるかなんて考えたことがなかった」と、今までの自分の景王に対する思い詰めた気持ちがおかしくなって、泣き笑いです。
州師の軍は、拓峰の町に火を放ちます。ここで町を見捨てたら、我々はただの夜盗になってしまうと、門を開けて打って出ます。逃げまどう人々に追い打ちを変える州師軍に対して、拓峰の人々の怒りが爆発し、ついに拓峰の人々は蜂起します。
拓峰で蜂起との知らせを受け、元冢宰・靖共は景王に許可を得ずに王直属の軍・禁軍を向かわせます。陽子は、昇紘、呀峰の後ろ盾に靖共がいることを知らされます。禁軍の王の旗を前にして、陽子はどうするのでしょうか。
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十二国記 第三十八話 「風の万里 黎明の空」十五章 | Permalink | コメント(30) | Trackback(0)
2005-01-07 21:38:51
十二国記 第三十七話 「風の万里 黎明の空」十四章 [ 十二国記 ]
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浅野、死す。
第37話に題名をつけるとしたら、こんなものでしょうか。郷城に突入してきた陽子にとらえられた浅野は、鈴と再会します。「陽子は浅野と知り合いだから、かえって逃がしてあげられなかった」と思い、鈴は浅野の縄をほどきます。
郷城で昇紘はとらえたものの、州師の軍勢は郷城に押し寄せており、虎嘯の軍勢では太刀打ちできません。後は州境まで逃げのびるしかないのですが、桓魋の部隊に援軍を頼むことができれば、勝てるかも知れません。
以前浅野を追いはぎから救ってくれた人達、鈴が武器の受け渡しで知り合った、虎嘯と同じように昇紘を倒そうとしている、祥瓊の仲間達に援軍を頼むために、浅野は郷城を出ます。
鈴は「浅野が援軍を連れてくるのは無理だろう。機転を利かせて逃げて欲しい」というのが本音なのですが、浅野は途中昇紘の手下に捕まってしまいます。命乞いをすれば見逃してやるという手下に、銃を向ける浅野。しかし、弾は相手の顔をかすめただけで、浅野は斬り殺されてしまいます。
今まさにその頭上を飛んでいた祥瓊の部隊。浅野を助け起こしますが、時すでに遅く、浅野は「何のために俺はここに来たんだ、これじゃあ犬死にだな」と笑って死んでいきました。
祥瓊からこのことを聞いた陽子は、「昇紘の手下に刃向かって死んだのならいいんだ・・・」と言います。それは、浅野の死はどうしようもないもので、せめて自分の意志で何かをなそうとして倒れたのなら良かったんだ、と自分を納得させようとしていたのかも知れません。
私は、命乞いをしてでも生き延びた方がいいと思いますが、浅野の運命はここで死ぬことだったのでしょう。
昇紘は「天の理をことごとく破ってきた俺を、天は罰せなかった。その俺を殺せるのか!」と居直っていますが、自分を追ってやってきたのが、赤い髪の若い女、戴冠式の時見上げた主上、その人であることに気づき、「やはり天意は存在した」と諦めます。
「主上が自分の意志で、私を罰しに来たことが、すなわち天の意志なのだ。さあ殺せ」と言う昇紘に、虎嘯の仲間達は憎悪をむき出しにしますが、陽子は「昇紘は呀峰につながっている。その悪事を証言させなければ、呀峰は倒せない」と諫めます。
憎くて憎くて八つ裂きにしてやりたい昇紘を目の前にして、虎嘯は「さあ、もうひと暴れするぞ!」と怒鳴って、昇紘を陽子に任せます。体の底からわき上がる憎しみを何とか抑えて、みんなを諫めた虎嘯の苦悩が、痛いほど伝わってくるシーンでした。
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十二国記 第三十七話 「風の万里 黎明の空」十四章 | Permalink | コメント(33) | Trackback(0)
2005-01-04 20:36:54
十二国記#36 「風の万里 黎明の空」十三章 [ 十二国記 ]
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和州止水郷・郷長酷吏である昇紘を倒すために集まった虎嘯たちが、ついに決起します。夕暉が立てた作戦で、昇紘の別宅を襲った後、穀物を蓄えている蔵を襲い、州境まで逃走します。襲撃の後には「昇紘を誅する」という意味の「殊恩」という言葉を残して行き、「昇紘を狙っているように見せかけて穀物を奪う盗賊」を装っています。
陽子は虎嘯達の一党に加わり、そこで朝野と再会します。すっかり王らしくなった陽子と、いまだにこの世界を受け入れられずに、「この世界は間違っている」「こんな世界は壊してしまったほうがいい」「自分と一緒に日本に帰ろう」と言う朝野。少しの間に二人の間には、大きな溝ができてしまったようです。
常に「自分は何のためにこの世界に送られてきたのか」と疑問を持ち続け、自分の役割を探している朝野に、陽子は「世界は誰かに役割を与えたりしない」と言います。
「自分が王になり、朝野君がこの世界にとばされてきたことの理由なんて、自分が女で、朝野君が男に生まれてきた理由くらいでしかない」と言う陽子は、自分がここにいて、王に選ばれているという運命を受け入れて、やれることをやるだけ。
運命を受け入れられない人間の取る行動は、いつも悲しいものです。いくら考えたって分かるはずがありません。なぜ自分がここにいて、自分の役割がなんなのかなんて、考えようによっては幾通りにも考えられますし、自分が納得できなければ、どんな考えも何の意味もありません。自分が納得のいく考えに行き着くまで、悩み続けることになります。
自分の悩みはとりあえず横に置いておいて、自分のすべきこと、自分のしたいことをすることが、悩みを解決し、悩みから抜け出す方法のよう気がします。
それにしても、陽子の勇猛果敢ぶりは、際だっています。物語が始まる前までは、なんとなくひ弱そうに見える女子高生だったなんて思えません。大声で兵に指示を出す姿は、すっかり威厳のある王になっています。
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十二国記#36 「風の万里 黎明の空」十三章 | Permalink | コメント(30) | Trackback(0)
2004-12-23 18:16:03
十二国記第三十五話 「風の万里 黎明の空」十二章 [ 十二国記 ]
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鈴と祥瓊が出会います。共に景王陽子に同じ年頃の女の子ということで、親近感を持ちながら旅してきた二人の女性。桓魋達の仲間となった祥瓊は、乱を起こす軍資金を得るため冬器の荷をある場所まで運ぶよう頼まれ、鈴も虎嘯から冬器を購入して来て欲しいと運び役を頼まれていての出会いです。
荷が届くのが送れてしばらくとどまらなくなったため、彼女たちはお互いの身の上を打ち明けあいます。清秀の死をいまだに受け入れられない鈴に、祥瓊は「鈴は間違っていなかった。僥天に行けばきっと景王は助けてくれたわ」と鈴がずっと誰かに言って貰いたかった言葉を投げかけます。この場面は、何度見ても涙なしには見られない、いいシーンでしたね。ホロホロ。
遠甫を捜す陽子は、宿を引き払った虎嘯に狙いを定め追いつめますが、その話から誤解が解け、民の中にも昇紘を討とうとするもの達がいることを知ります。これが、虎嘯と陽子の出会いでもあります。
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十二国記第三十五話 「風の万里 黎明の空」十二章 | Permalink | コメント(34) | Trackback(0)
2004-12-17 16:06:39
十二国記第三十四話 「風の万里 黎明の空」十一章 [ 十二国記 ]
![]() | 十二国記 蓬山遠景~胡弓 Memories TVサントラ, ビクターエンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
民の中に身を置く陽子。自分が景国のことを何も知らず、官吏にいいようにされていることに納得できない陽子は、遠甫の元で身分を隠して暮らしています。
鈴と再会した陽子は、桓魋の店で働く鈴から、自分が知らない景国の内情を聞かされます。
陽子が罷免した麦州侯は、民に慕われていたいい侯官だったこと。以前偽王が立った時にも、最後まで偽王に従わず兵を動かさなかったこと。景王が郷長昇紘をかばい和州候を保護しているという噂があること。いちいち陽子がショックを受けるようなことばかりです。
家に帰ると血の臭いが。遠甫は連れ去られ、桂桂は銃で撃たれ、蘭玉は殺されていました。
朝野が桂桂を銃で撃ってしまうのですが、朝野は何とも変な役回りですね。いつまでもまともにならないし、この世界になじめずにゲーム感覚が抜けないようです。これはゲームばっかりやっている、現代の若者への警告か。それとも考え過ぎか。
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2004-12-10 21:44:07
十二国記第三十三話 「風の万里 黎明の空」十章 [ 十二国記 ]
![]() | 十二国記 - 月迷風影有坂美香, 北川恵子, 吉良知彦, 梁邦彦ビクターエンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
鈴は、ひとりで清秀の敵かたきを取ろうとしますが、宿で一緒だった男に止められます。その宿に連れて行かれ、宿の面々達が昇紘を倒すための、秘密結社であることを知らされます。
清秀を殺した昇紘を許せないと語る鈴。でも本心は、清秀をここに連れてきた自分を許せないのです。「清秀は私を許すだろう。清秀は優しいから。でも、私は私を許せない。私が清秀を殺したんだ」と言って泣く鈴。鈴は「昇紘を倒すためなら何でもやる」と仲間になります。
一方祥瓊も明郭を訪れます。首都堯天に次いで栄えている町だと聞いていたのとは違い、街並みはさびれ、難民は多く、無計画な壁で町は迷路のようです。
そこで祥瓊が見たものは、苦役を逃れた民の処刑です。磔は廃止されたはずなのに、ここではまだこんな事が行われています。祥瓊の脳裏に自分が私刑にされそうになったことが浮かびます。思わす祥瓊は兵に石を投げてしまい、追われる身になってしまいました。
祥瓊の回想で、両足を馬の足につながれ、声が出ないように口に布を突っ込まれて股裂きされようとしているシーンは、なんど見てもショキングです。
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2004-12-03 21:34:38
十二国記「#32 風の万里 黎明の空 九章」 [ 十二国記 ]
十二国記 O.S.T.1 - 十二幻夢組曲![]() | 十二国記 O.S.T.1 - 十二幻夢組曲TVサントラビクターエンタテインメント |
往来で昇紘の馬車にひき殺された清秀。群衆の目の前であったにもかかわらず、誰一人として証言する者は現れません。それどころか、清秀が轢かれたことすら、知らないふりをされます。
鈴は、目が見えずに、まともに歩けなかった清秀を、すぐに医者に連れて行かなかった自分を責め、あまりに清秀が理不尽に殺され、うやむやにされていくことに耐えられず、昇紘をのさばらせている景王に敵意を抱きます。
景王陽子は、蘭玉から止水の郷長である昇紘の悪行を聞き、愕然とします。すぐに昇紘を罰しようとする陽子に、蘭玉は、法を曲げて昇紘を罰することは、ことわりを曲げることであり、昇紘の悪行にも勝ることだ。王なればこそ、法を曲げてはならないと諭されます。
底が浅いドラマであれば、お忍びの王が部下の悪行を知った時点で、水戸黄門の印籠を出して、即解決となるのですが、さすがに十二国記では、そうはいきません。現実の世界でも、ひどいことをしているのが分かっていても、法に違反してなければ罰することはできません。さらに現実では、昇紘のようにハッキリと悪行を行っていることはなく、「ひどい事だけど、必要な部分もある」といった性質のものが多く、どれ一つ取ってみても一筋縄でいきません。
そのことを知った上で、昇紘を罰するためにどうしたらいいかを考え、まっとうな方法で昇紘を罰しなければ、王としての責任を果たすことにならないのが、王のつらいところです。
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十二国記「#32 風の万里 黎明の空 九章」 | Permalink | コメント(34) | Trackback(0)
2004-11-26 22:11:58
十二国記#31「風の万里 黎明の空」転章 [ 十二国記 ]
十二国記 風の万里 黎明の空 第4巻![]() | 十二国記 風の万里 黎明の空 第4巻ポニーキャニオン |
楽俊と旅をする祥瓊。その旅の中で、公主としての自分の責任を考える祥瓊です。印象的だったのが、「王は一度失敗したらそれで終わりだが、平民はいくらでもやり直しがきく。祥瓊の人生は始まったばかりじゃないか」という楽俊の言葉。
これから祥瓊が、平民として生きていくためには、公主としての生きてきた時代の責任に、ケリをつけなくてはなりません。実際には仙籍を剥奪され、平民に落とされたことで公の責任は取っていますが、祥瓊自身の中で、「国の様子など知らなかった」のままでは、父が討たれた事実を受け入れることはできません。父がなぜ討たれたのか、自分はどうすべきだったのか、という問いに簡単に答えを出すことはできませんが、国の様子や人々の暮らしを理解することで、答えに近いものを、感じることができるんじゃないかと思います。
祥瓊が楽俊と出会い、陽子に会いに行くことの架け橋になったのは、とても幸運なことで、楽俊には他人に幸運をもたらす力があるということです。
十二国記#31「風の万里 黎明の空」転章 | Permalink | コメント(0) | Trackback(0)
2004-10-07 20:36:37
十二国記 第25話「風の万里 黎明の空」第三章 [ 十二国記 ]
十二国記 風の万里 黎明の空...![]() | 十二国記 風の万里 黎明の空 第1巻ポニーキャニオン |
第二十五話 「風の万里 黎明の空」 三章
NHKBS、教育テレビで放送された十二国記が、教育テレビで深夜再放送されています。
♪私のかわいい人形〜 祥瓊が歌う歌を聞いた少女が、祥瓊に言います。「私、その歌好き。教えてくれたら、よく働いているって言ってあげる」。しかし、祥瓊は醜い顔で「この歌は、あんたなんかが歌っていい歌じゃないのよ」と言い返します。祥瓊には「父が討たれて、今は奴隷に身をやつしているけれど、本当は高貴な生まれなんだ。こんなところでひどい仕打ちをされる身分じゃないんだ」という意識が抜けません。
そうこうするうち、祥瓊が公主であった事が里家に住む少女にばれてしまいます。瞬く間に話は広がり、公主に家族を殺された人達に、リンチを受けそうになります。祥瓊は叫びます。「私は知らなかったのよ。世の中でなにが起こっていたか。それでも私が悪いの?」
民衆は公主に恨みを持っているので、もちろんそんな理屈に耳を貸すものはいません。公主に家族を殺されたんだから、公主の家族を殺していいと思うだけです。
でもその問いは、見ている私達にも向けられているのです。「知らなかったら許されるのか?」「知らなくてはならなかったのか?」
祥瓊は公主の娘だったのだから、世の中のことに無頓着でいいはずがない。公主が間違ったことをしていたら、止めなくてはならないはずだ、と言うのは簡単です。では私達は、自分の会社の社長が会社を潰して、社員が債権者から債務の返済を迫られ、「社員も社長のすることに目を光られなくてはならなかったのに、知らなかったではすまされない、借金を返済しろ」といわれて、そのとおりだと思うでしょうか。そんなはずはありません。「自分だって社長の犠牲者なんだ」と思うでしょう。社長がなにをやっているか知りようもないし、止めようもないのが普通でしょう。
私には、祥瓊だって公主のやることを止めることはできなかったし、それでリンチを受けるのはひどすぎると思います。しかし、家族を殺された人の心は、そんな理屈が通用するほど穏やかではないのが普通です。
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