2006-02-10 21:41:20

蟲師「籠のなか」 [ 蟲師 ]

蟲師 (2) アフタヌーンKC (284)講談社漆原 友紀このアイテムの詳細を見る

 見終わってから唸ってしまいました。う〜ん、いつもながら高いレベルで作品作りがされている蟲師。いつもは蟲が人に及ぼす不思議な影響を描いていますが、今回は珍しく蟲と人との間にあるものが現れます。第1話でもそういった存在がありましたね。
 
 竹林の中に根を張る蟲「マガリダケ」。普通は竹林の中にひっそり立っているだけですが、ここでは人間との間に子供をもうけています。
 里に伝わる昔話。竹林の中に住んでいた子供のない夫婦。夫は家を空けることが多かったが、妻は「子供ができた」と告げる。不審に思った夫が夜な夜な出かける妻の後を追ってみると、妻は白い竹を抱きしめていた。その後男が家に帰ると、妻はタケノコを子供のように抱えていたということです。
 キスケは子供の時、竹林の中で暮らす娘セツの所に遊びに来ていて、どうしてか里に帰ることができなくなります。村人は竹林に入りキスケに会うことができるみたい。そしてそれ以来キスケはセツと一緒に竹林の中で暮らすようになったとのことです。そして子供の出産。せつはなんと、タケノコを産み落とし、中から娘が出てきたのでした。

 ギンコの調査によって、キスケを竹林に閉じこめているのは、白い竹、マガリダケだと分かります。マガリダケはその幹から出る水によって、竹林とセツ、そして子供の頃1回だけ水を飲んだキスケをコントロールしているのです。
 キスケからマガリダケの水を抜けば竹林から抜け出せるんだけど、人間の体からすべての水を抜くことはできず、もう一つの方法はどんな影響が出るか分からないから勧めない。、というギンコの話に、キスケは「一度でいいから里に帰りたい、里にいる妹がどうしているか知りたい」という望みはもう絶たれたのだと悟ります。
 その話を影で聞いていたセツは、キスケが里に帰りたがっていることを知ります。そしてそれを阻んでいるのが、幼い頃自分が飲ませた一杯の水だったことを。
 そしてセツがとった行動は、斧でマガリダケを切り倒すことでした。しかし何度振り下ろしても斧はマガリダケに食い込まず、切ることはできません。セツはマガリダケから出る水を飲むことで、マガリダケにコントロールされていて、自分で自分の体を傷つけることはできないのでした。
 しかし、感極まったセツは最後にマガリダケを切り倒してしまいます。倒れた曲がけは枝を足にして、ゴソゴソと歩いて逃げていきましたよ。この姿はちょっと不気味だったな〜。

 姿が見えなくなったセツを捜して歩いていると、キスケは不意に里に出てしまいます。「里に帰れた!」。子供を抱いて懐かしい里に下りてみると、そこに待っていたのは村人の冷たい反応でした。妹も「そんなモノ里に連れて降りないで。子供にまで肩身の狭い思いをさせないで!」と、とりつく島もなし。
 仕方のないこととはいえ、こうした村の因習は悲しいですね。得体の知れないものへの拒絶感は、人間が本能的に持っているものでしょうか。身を守るために必要な特性。それが人間に向けられるときは、鋭い刃となって他人を傷つけます。
 セツはいなくなり、村人からも拒否されてキスケはひとりぼっちになったのかと思ったら、セツはちゃんと生きていました。よかった〜。

 「それからしばらくは幸せに暮らした」という話でしたが、半年後ギンコがこの竹林を尋ねると、セツと娘はマガリダケから出る水がなくなると生きていけなくなったようで、死んでしまっていました。
 何という救いようのない結末。キスケとセツ一家の生活は、非常に危ういバランスの上に成り立っていたのか。キスケもセツも相手を思いやる心から行動した結果なのに、それがこの一家のバランスを崩してしまった。誰も憎悪や妬みから行動した人はいないのに、平穏な竹林での生活はあっけなく消えてしまうんですね。
 悲しみに暮れるキスケの前に、新たなマガリダケが現れます。墓の下から赤ん坊の泣き声が。新たな生命?の誕生に、ほのかな救いが見えるようなラストでした。

 ここでふとわき出た疑問を。セツが産んだ娘は本当にキスケの娘なんでしょうか?。う〜ん、分からん。

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CIALIS (2006-04-13 22:11:01)

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